灰色の海に流され、冷たい霧に包まれた孤島へ漂着した男。点滴の跡と医療用リストバンドだけを手がかりに、人の気配のない町を歩き始める——それが『SILENT HILL: Townfall(サイレントヒル タウンフォール)』の始まりだ。
2026年9月24日に発売された本作は、サイレントヒルシリーズとして初のフルレングス一人称視点作品である。舞台はスコットランドの架空の孤島「セントアメリア」。時代設定は1996年。シリーズの象徴であったラジオは「CRTV(ポケットテレビ)」に進化し、霧の向こうの脅威を映し出し、物語の断片を拾い上げ、謎解きの鍵を握る道具となった。
この記事では、初心者が最初に身につけるべき基本動作から、ステルスと戦闘の判断基準、CRTVの活用法、主要パートの進行のコツ、武器・回復の管理、エンディング分岐の仕組みまでを、実践的に詳しく解説する。ネタバレは最小限に抑えつつ、詰まらないための情報を優先してまとめた。初回クリアの目安は10〜14時間程度。丁寧に探索すれば13時間前後、ストーリー重視なら12時間前後でエンディングに到達できる。
ゲームの基本構造を理解する
『サイレントヒル タウンフォール』は、大きく4つの柱で構成されている。
- 探索
霧に沈んだ通り、港、診療所、民家、古い施設を歩き、書類や鍵、手がかりを集める。町はオープンワールドではなく、ループ可能な程度の漁村規模。行き止まりと鍵付きの扉が多く、後から戻れる設計になっている。 - ステルス
音に敏感な敵をやり過ごす。物陰、戸棚、鍵のかかる部屋を活用し、正面衝突を避ける。 - 戦闘
近接武器の耐久とスタミナ管理、極めて限られた弾薬を駆使する。正面からすべてを倒す必要はない。 - 謎解き
書類、ポスター、CRTVの映像、1990年代の生活道具を組み合わせて解く。数字系の謎は特に多く、メモ必須。
難易度は戦闘と謎解きが別々に設定できる。戦闘はNightmare / Normal / Story Modeの3段階。Story Modeでも敵は消えないが、感知が緩やかになる。初回はNormal推奨。謎解きはHintedとNormal。番号を暗記するタイプの謎が多いので、メモを取る習慣を早めにつけておくと後半で楽になる。
対応機種はPS5とPC(Steam / Epic Games Store)。CEROはD。価格は通常版7,480円(税込)、デラックス版8,580円(税込)。
序盤で身につけるべき習慣
プロローグを抜けてホテルの一室でCRTVを手に入れた瞬間から、本作の考え方が始まる。部屋の中には日付の手がかりが複数ある。CRTVの映像に映るカレンダーと、デスクのホテルメニューに書かれた年号。扉のダイヤルは「18 / January / 1996」という組み合わせで開く。この「同じ空間に答えが複数ある」解き方が、以降ずっと続く。
ショアフロント地区に出たら、次の習慣を体に染み込ませよう。
- 曲がり角の前で必ずCRTVを掲げる。信号を一通り送り、輪郭の向きを確認する。こちらを向いていなければ通り抜ける窓がある。向いていれば隠れるか迂回する。
- ドアはできるだけ閉める。浴室や事務所のドアには内側からかけられる鍵がある。鍵をかけた部屋は、地図を開いて次のルートを考えるための安全地帯になる。
- 物は全部見る。書類、ポスター、処方箋、移植カード、プリペイド式の電力カード。1990年代のスコットランドの海辺の町として、道具の扱いが非常に具体的だ。電力メーターにカードを差し、クレジットを加算してマスタースイッチを入れる、といった操作がある。
- セーブは電話が基本。見つけたら積極的に使う。探索で遠回りしたあとに戻ると、敵配置が微妙に変わっていることもあるので、安全な部屋を確保してから深追いした方がいい。

CRTVの4つの使い方
CRTVは単なるレーダーではない。視界の一部であり、物語の窓でもある。
- 脅威の可視化
霧と壁の向こうに人型の輪郭が浮かぶ。敵ごとに信号が分かれているので、複数体いる部屋ではチャンネルを送って一匹ずつ確認する。距離の正確な数値は出ないが、向きとざっくりした遠近は読める。 - 物語の送信
ゾーイやリチャードの声、過去の映像が砂嵐のあいだに混じる。強制イベントだけでなく、任意で拾える信号もある。全体で映像信号は十数本あり、実績にも関係する。 - 謎の手がかり
ポスターの数字の「順番」だけが放送側に出ていたり、部屋のラジオに合わせないと絵が安定しなかったりする。PS5では本体を傾けて色を枠に収める操作がある。PCはキーとホイールでチューニングする。 - 誘引
ノイズを流して敵の注意を逸らす使い方がある。すべての部屋で必要ではないが、袋小路で逃げ場がないときに有効。
ラジオが置いてある部屋では、まずそのラジオに合わせて校正する。弱い信号を拾ってから色を合わせる、という二段階がある場所が多い。扉が開かないときは、同じ部屋のガラスや画面に答えが映っていることが多い。
ステルスを基本に、戦う場面を選ぶ
本作は正面から斬り合う作品ではない。レビューでも「戦闘は避けた方がホラーとして成立する」と繰り返し指摘されている通りで、弾を撃ち尽くすと後半が苦しくなる。
敵は総じて音に敏感だ。走り、扉の開閉、物を落とす音で向きを変える。後の章に出てくる一部の個体は、他の敵が無視する程度の開閉音にも反応する。走っていいのは、敵がいないとCRTVで確認した直線だけだ。
隠れ場所はcloset、半開きのドアの陰、カウンターの裏、鍵のかかる個室。チェイス中は「今隠れられる場所」より「次に隠れられる場所」を見て動く。CRTVを掲げたままクローゼットに入り、輪郭が離れるまで画面を見てから出る。
覗き込み(ピーキング)は角で必ず使う。CRTVの輪郭と、目で見た位置がずれることがある。機械は壁越しに形を出すが、障害物の向こう側に本当に通路があるかは分からない。
戦闘に入る判断は、次のときだけに絞ると安定する。
- 逃げ道がない狭い室内
- 目的のアイテムが敵の正面にある
- 複数体を振り切れず、一人だけ処理すればルートが開く
近接武器と銃の扱い
近接武器はパイプや板など。耐久があり、攻撃とガードで減る。ゼロになると手元から消える。スタミナも削れる。闇雲に振り続けると、次の一撃を出す前に相手の予備動作を食らう。
現場で一番安定した流れはこうだ。敵の予備動作を見る。ガードで弾く。体勢が崩れたところに強攻撃を一発。後ろへ下がってスタミナを戻す。連続攻撃はしない。「一回受けて一回返す」より「予備動作を見て一回だけ返す」方が武器が長持ちする。
銃は温存する。弾薬は全体を通して少ない。パート5付近で少し余裕が出るという声が多いが、それまでは「どうしても倒せない相手」か「ボス前の保険」に回す。銃声は周囲の敵を呼び寄せるため、使用場所には特に注意が必要だ。
回復アイテムの優先順位
回復は合成を覚えておく。ガーゼにアルコールを合わせると滅菌ガーゼになり、回復量が上がる。空の点滴バッグに輸液を合わせると蘇生になる。後半は抗生物質を点滴に足すと、蘇生時に全快に近い回復になる。通常のガーゼを全部使い切らず、材料を残しておくのがコツだ。
敵の見極めと対処法
名前を全部覚える必要はない。動きの型で分けた方が現場では役に立つ。
- 突進してくる頭部の異形(ランジャー)
予備動作が見えやすいので、ガードカウンター向き。真正面の打ち合いに持ち込むならこのタイプから。 - 点滴の管を伸ばしてくる個体(ソロウルフ)
間合いが読みにくい。横から接近されることが多いので、部屋の中央で戦わない。 - 死体に擬態するフォールン
床の「動かないもの」を全部疑う。近づく前にCRTVで輪郭があるか見る。落下して死んでいる個体も多いが、混在している。 - 音に極端に敏感で、正面接触が即死になる大型(ウェイト)
攻撃が通らない時間帯がある。見られたら隠れるか、建物に入って鍵をかける。後の形態ではQTEで振りほどけるようになるが、初見で真正面から突っ込むとそこで終わる。 - ウィドウ
特定パートに出る。奇襲が多いので、背後の確認を怠らない。 - コラプス
街そのものの崩壊を象徴する存在。通常の意味でのボス戦というより、空間を汚染する背景に近い。フォールンを降らせてくるので、空と足元の両方を見る時間が来る。
共通して言えるのは「音を出した側が負ける」ということだ。自分が走った音で集まったところへ弾を撃ち込む、という流れは資源が溶ける。先に隠れて、通過を待つ。

効率よく進めるための優先順位
初回はコンプリートを狙わない方がいい。発見物(書類や手がかり)はエンディングに関係するが、全部拾おうとして同じ区画を往復すると、敵の巡回に飲まれる。
進める順番の考え方はこうだ。
- 当面の目的地をCRTVの映像で確認する。映像が建物の外観を示すことが多い。地図の名前と映像の建物を一致させてから歩く。
- 目的地の周辺だけは全部漁る。回復、武器、鍵、その部屋の謎に使う紙は、目的の建物とその隣くらいまで見ておけば足りることが多い。
- 数字はメモする。薬局のロッカー、臓器輸送箱のETコード、電力カード、後の施設のバルブID。手がかりは「数字そのもの」と「並べる順番」が別の場所に分かれている。順番はCRTV側にあることが多い。
探索は「全部見る」と「今いる区画を空にする」を分ける。序盤の港と住宅街は、後から鍵が増えて戻れる。気づいた印だけ残しておけば、プラス周で回収が速い。
主要パートの進行のポイント
本作は大きくPart 1〜6に分かれている。
- Part 1: Arrival(到着)
ショアフロント地区を中心に、CRTVの基本操作とステルスの感覚を身につける。最初の謎解きは比較的素直。Organ Transplant CardのETコード(例: 956234692133)など、数字の組み合わせが出てくる。 - Part 2: Zoe
ゾーイの家や診療所周辺。物語の断片が増え始める。ステルスと探索のバランスが重要。 - Part 3: Patient
病院系の謎解きが増える。X線や血液バッグなど、医療関連のパズルが中心。 - Part 4: Clara Woods
森や住宅地。コインの収集が関係する場所もある(NG+用)。 - Part 5: Richard
ショットガンが入手できるあたり。敵の密度が上がり、ウィドウなど厄介な相手が増える。 - Part 6: Simon
クライマックス。エンディング判定に直結する行動が増える。
各パートで「取り返しのつかない要素」は少ないが、鍵や特定の書類は見逃すと後で戻る手間が増える。メニューの目標をこまめに確認し、迷ったら一旦安全地帯に戻って整理するのが有効だ。
武器一覧と入手の目安
通常プレイで使用できる武器と、New Game+限定の隠し武器がある。
- 木材・鉄パイプ:各地で拾う近接武器
- ビン・レンガ:投擲武器。敵の注意を逸らすのに有効
- ピストル:チャプター6付近でストーリー進行により入手
- フレアガン:チャプター10付近、ロッカー75番を開けると入手
- ショットガン:チャプター13付近でストーリー進行により自動入手
- 斧(隠し):New Game+で1回クリア後に入手可能。強力な近接武器
- ピストル3000(隠し):サイファイエンディングクリア後のNG+で入手可能。通常の敵を一撃で倒せる強力な銃
近接武器は耐久があるので、温存を意識する。銃は「必要な場面」だけに使う。
エンディング分岐の仕組み
本作には5つのエンディングがある。本編中に到達可能な3つと、New Game+限定の2つの隠しエンディングだ。
標準の3つは、クリア時の「Discoveries(手がかりと書類の合計)」と「敵のキル数」のバランスで決まる。
- Justice(正義)
Discoveriesがキル数を20以上上回り、かつキル数が60未満。トロフィー「For St. Amelia」 - Forever(永遠)
Discoveriesがキル数より3〜5程度多く、キル数が60未満。トロフィー「Here To Stay」 - Abandoned(放棄)
キル数がDiscoveriesを上回るか、キル数が60を超える。トロフィー「Just Making Things Worse」
DiscoveriesはCRTVで拾った映像ではなく、手で拾った紙類や手がかりが対象。初回は「通路を塞ぐ相手以外は避ける」くらいの方針で十分。殺しすぎると一つの方向に固定されやすい。
New Game+限定の隠しエンディングは以下の通り。
- Dog Ending
3つのコイン(ブロンズ、シルバー、ゴールド)を集め、それぞれのGuide Dog貯金箱に入れる。コインの入手場所はPart 1のVideo Star裏、Part 4の裏庭小屋、Part 6の特定の部屋など。トロフィー「Let’s Talk This Out」 - Sci-fi Ending
特定の条件を満たすと最終ボスをスキップして到達可能。トロフィー「Sci-fi-lent Hill」
全エンディングを見るには、最低2周が目安。手動セーブを活用すれば効率よく集められる。
New Game+と周回のポイント
New Game+では武器の持ち越しや、初回では届かない小物が追加される。隠し武器の斧やピストル3000は、特定のエンディングクリア後に解禁される。周回では初回で踏んだ場所を覚えておけば、数時間で終わるケースも多い。
トロフィー収集を目指す場合は、Discoveriesとキル数のバランスを意識した周回と、コイン収集専用の周回を分けると効率が良い。
詰まったときのチェックリスト
- 現在の目標をメニューで確認したか
- CRTVで周囲の信号をすべて拾ったか
- 同じ部屋の書類やポスターを読み飛ばしていないか
- 数字はメモしたか(特にロッカーやETコード)
- 音を立てすぎて敵を集めすぎていないか
- 近接武器の耐久と弾薬を温存できているか
謎解きで行き詰まったら、ひとつの手がかりだけで判断せず、周囲にほかの手がかりがないか探そう。ポケットテレビから得られる映像や信号が関係する場合もある。
まとめ|霧の中で「状況を正す」ということ
『サイレントヒル タウンフォール』は、シリーズの伝統である心理的恐怖を、一人称視点とCRTVという新しい道具で再構築した作品だ。敵を倒すことだけが安全に進む方法ではない。距離を保ち、CRTVで位置を確認し、遮蔽物や音を利用して危険を回避する。戦闘が必要になった場合も、資源を意識した判断が求められる。
初回はコンプリートを狙わず、物語と雰囲気を味わうことを優先してほしい。数字はメモし、安全地帯を確保し、迷ったら一度立ち止まる。その繰り返しが、セントアメリアの霧の中を生き抜くための最良の方法だ。
クリア後もなお心に残る余韻。それがこの作品の真価だろう。状況を正すために島へ戻ったサイモンのように、プレイヤー自身もまた、自分の行動と向き合わされる。霧の向こうに何が待っているのか——実際に歩いて確かめてほしい。
以上が、『サイレントヒル タウンフォール』を攻略するうえで押さえておきたいポイントのすべてである。安全に、そして深く、セントアメリアの物語を体験してほしい。


